夏の時期に、トイレの回数が増える「頻尿」が見られた場合、その多くは、水分補給の方法の誤りや、自律神経の乱れといった、熱中症に関連する一過性のものです。しかし、中には、別の病気が隠れているサインである可能性も考えられます。以下に挙げるような特徴を持つ頻尿の場合は、熱中症対策と並行して、一度、医療機関を受診することを検討すべきです。まず、注意したいのが、「排尿時の痛み」や「残尿感」を伴う頻尿です。トイレに行っても、少ししか尿が出ず、排尿の終わりにツーンとした痛みを感じる、あるいは、排尿後もまだ尿が残っているようなスッキリしない感覚がある。このような症状は、「急性膀胱炎」の典型的なサインです。特に女性は、夏の時期、汗をかいてデリケートゾーンが蒸れやすくなったり、水分不足で尿が濃縮されたりすることで、細菌が繁殖しやすく、膀胱炎を起こしやすい傾向にあります。膀胱炎は、抗菌薬による治療が必要なため、我慢せずに「泌尿器科」や「内科」、「婦人科」を受診しましょう。次に、「急に、我慢できないほどの強い尿意」が頻繁に起こる場合です。これは、「過活動膀胱(OAB)」という病気の可能性があります。膀胱が過敏になり、自分の意志とは関係なく勝手に収縮してしまうことで、突然の強い尿意や、時には尿漏れを引き起こします。過活動膀胱は、適切な薬物治療や、膀胱のトレーニングによって、症状を改善することが可能です。専門は「泌尿器科」となります。また、男性の場合、頻尿と共に、「尿の勢いが弱い」「尿が出始めるまでに時間がかかる」といった症状があれば、「前立腺肥大症」の可能性が考えられます。肥大した前立腺が尿道を圧迫することで、様々な排尿障害を引き起こす病気で、こちらも「泌尿器科」が専門です。さらに、頻尿に加えて、「異常に喉が渇く」「体重が急に減少した」といった症状がある場合は、「糖尿病」のサインかもしれません。血糖値が高いと、尿中に糖が排出されるようになり、その際に大量の水分が一緒に排出されるため、尿の量と回数が増えるのです。この場合は、「糖尿病内科」や「内科」への受診が必要です。夏の頻尿を、全て熱中症のせいと自己判断せず、伴う症状に注意を払い、気になる点があれば、専門医に相談することが大切です。
こんな頻尿は要注意、病院へ行くべきサイン