大人になってから、突然、蕁麻疹が出るようになった。風邪をひいているわけでもないのに、原因不明のかゆい発疹に悩まされている。そんな時、その蕁麻疹の背景には、風邪や薬以外にも、様々な原因が隠れている可能性があります。蕁麻疹は、その原因が特定できるケースの方が少なく、約7割は原因不明の「特発性蕁麻疹」とされていますが、考えられる原因を知っておくことは、症状を悪化させないための対策に繋がります。まず、最も一般的な原因の一つが、「食べ物」です。サバやアジといった青魚、エビやカニなどの甲殻類、そば、卵、乳製品、ナッツ類などが、アレルギー性蕁麻疹の原因として知られています。また、食品に含まれる添加物や、たけのこやほうれん草などに含まれるヒスタミン様の物質が、直接、蕁麻疹を引き起こすこともあります。次に、「物理的な刺激」も、蕁麻疹の引き金となります。例えば、衣類の締め付けや、バッグが擦れるといった機械的な圧迫によって、みみず腫れのような発疹が出る「機械性蕁麻疹」。冷たい水や空気に触れることで発疹が出る「寒冷蕁麻疹」や、逆に、お風呂などで体が温まることで発疹が出る「温熱蕁麻疹」。日光を浴びることで発疹が出る「日光蕁麻疹」など、様々なタイプがあります。これらの物理性蕁麻疹は、原因となる刺激がはっきりしているのが特徴です。また、意外と見過ごされがちなのが、「精神的なストレス」や「疲労」です。強いストレスや、慢性的な疲労は、自律神経や免疫系のバランスを崩し、マスト細胞を活性化させやすくします。特に、原因不明の慢性蕁麻疹の背景には、こうした心理的な要因が大きく関わっていることが多いと言われています。さらに、甲状腺疾患や膠原病といった、何らかの「内科的な病気」が根底にあり、その一つの症状として、蕁麻疹が現れているケースも、稀にですが存在します。このように、大人の蕁麻疹の原因は、非常に多岐にわたります。もし、原因不明の蕁麻疹が何日も続く、あるいは出たり消えたりを繰り返すようであれば、一度、皮膚科やアレルギー科を受診し、詳しい検査を受けて、原因を探ってみることが大切です。