それは、季節の変わり目で、少し肌寒い日が続いていた頃のことでした。最初は、喉の痛みと微熱から始まり、「ああ、また風邪をひいてしまったな」と、いつものことだと軽く考えていました。市販の総合感冒薬を飲み、早めに寝て、数日で熱も下がり、風邪は治りかけのように思えました。しかし、その矢先、私の体に異変が起きたのです。夜、お風呂から上がって体を拭いていると、太ももの内側に、蚊に刺されたような、赤くて少し盛り上がった発疹がいくつかできているのに気づきました。最初は、ダニか何かに刺されたのかと思いましたが、その発疹は、見る見るうちに、お腹や背中、腕へと広がっていき、それぞれがくっついて、地図のような大きな広がりを見せ始めました。そして、何よりも耐え難かったのが、その猛烈な「かゆみ」です。体の芯から湧き上がってくるような、いてもたってもいられないかゆみに襲われ、私は夜通し、体を掻きむしり続けました。翌朝、鏡に映った自分の姿を見て、愕然としました。全身がまだらに赤く腫れ上がり、まるで別人のようでした。風邪の残りの倦怠感と、蕁麻疹のかゆみと、そして寝不足で、心身ともに限界でした。私は、すぐに皮膚科クリニックへ駆け込みました。医師は、私の全身の発疹を診て、風邪をひいていた経緯を話すと、「風邪のウイルスに、免疫が過剰に反応してしまったんでしょうね。ウイルス性の蕁麻疹です」と説明してくれました。そして、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬の内服薬と、炎症を抑えるステロイドの塗り薬を処方してくれました。薬を飲み始めると、あれほど猛威を振るっていたかゆみは、数時間で少しずつ和らいでいきました。完全に発疹が消えるまでには、1週間ほどかかりましたが、かゆみがコントロールできるだけで、精神的には天国と地獄ほどの差がありました。この経験を通じて、私は、風邪が単なる呼吸器の病気ではなく、全身の免疫システムを揺るがす、侮れない病気なのだということを、身をもって知りました。そして、つらい症状は我慢せず、速やかに専門医の助けを求めることの大切さを痛感したのです。
風邪で蕁麻疹、私のつらかった一週間