体のしこり、まず何科へ相談すべきか
ある日、ふと体に触れた時に、これまでなかった「しこり」に気づくと、多くの人が「これは何だろう」「悪いものではないだろうか」と、大きな不安に駆られることでしょう。そして次に直面するのが、「このしこり、一体、何科の病院へ行けば良いのか」という、非常に悩ましい問題です。しこりの原因は、良性のものから悪性のものまで様々であり、その正体を突き止めるためには、専門家による正確な診断が不可欠です。では、まずどこへ相談すれば良いのでしょうか。もし、しこりが皮膚の表面、あるいは皮膚のすぐ下にあり、明らかに皮膚のトラブルだと思われる場合は、「皮膚科」が第一選択となります。粉瘤(アテローム)や脂肪腫といった、よく見られる良性の皮下腫瘍は、皮膚科で診断・治療が可能です。また、原因がはっきりしない場合でも、最初の相談窓口として、全身の皮膚の状態を診る専門家である皮膚科医に診てもらうのは、良い選択肢の一つです。手術による切除が必要な場合は、「形成外科」も専門となります。形成外科は、体の表面の異常を、機能的にも美容的にも、よりきれいに治すことを専門とする科です。一方で、しこりができた体の部位によって、より専門性の高い診療科が存在します。例えば、乳房のしこりであれば乳腺外科、首のしこりであれば耳鼻咽喉科、といった具合です。もし、しこりの原因に見当がつかない、あるいは複数の場所に症状がある場合は、かかりつけの「内科」や「総合診療科」に相談するのも良いでしょう。全身の状態を幅広く診察し、適切な専門科へと橋渡しをしてくれる、ナビゲーターの役割を担ってくれます。大切なのは、しこりを自己判断で放置しないことです。不安な気持ちを一人で抱え込まず、まずは勇気を出して、医療機関の扉を叩くことから始めましょう。