風邪などをきっかけに、突然、激しいかゆみを伴う蕁麻疹が全身に広がってしまった。そんな時、医療機関では、どのような治療が行われるのでしょうか。蕁麻疹の治療の目的は、まず、今まさに出ている、つらいかゆみや発疹を速やかに抑えること、そして、新たな発疹が出ないようにコントロールすることです。その治療の主役となるのが、「抗ヒスタミン薬」の内服(飲み薬)です。蕁麻疹の症状は、皮膚のマスト細胞から放出される「ヒスタミン」という化学物質が、血管や神経に作用することで引き起こされます。抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンが、その受け皿である受容体に結合するのをブロックすることで、ヒスタミンの働きを無効化し、かゆみや発疹を抑える薬です。現在、医療機関で処方される抗ヒスタミン薬は、眠気などの副作用が少ない「第二世代」と呼ばれる新しいタイプのものが主流となっています。医師は、患者さんの症状の強さや、ライフスタイル(日中に眠くなると困るかなど)を考慮しながら、最も適した種類の抗ヒスタミン薬を選択します。まず、これらの薬を服用して、症状が完全に抑えられるかどうかを確認します。症状が治まったからといって、すぐに薬をやめてしまうと、再び蕁麻疹が出てくることがあるため、医師の指示に従い、一定期間、服用を続けることが重要です。もし、標準的な量の抗ヒスタミン薬を飲んでも、症状が十分にコントロールできない場合には、薬の量を増やしたり、あるいは作用の異なる別の種類の抗ヒスタミン薬を組み合わせたり、就寝前だけ別の薬を追加したり、といった工夫が行われます。また、かゆみや赤みが局所的に非常に強い場合には、対症療法として、一時的に「ステロイド外用薬(塗り薬)」が処方されることもあります。これにより、局所の炎症を速やかに鎮めることができます。さらに、蕁麻疹の原因が、風邪の治療で飲んだ薬による「薬疹」であると強く疑われる場合は、原因となった薬を特定し、今後、その薬を絶対に服用しないように、患者さんに指導します。蕁麻疹の治療は、まず抗ヒスタミン薬の内服が基本です。自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、専門医のもとで、自分に合った適切な治療を受けることが、つらい症状からの一日も早い解放に繋がります。
蕁麻疹が出た!病院ではどんな治療をする?