朝、ベッドから降りた第一歩目に、かかとに走る激痛。足底腱膜炎に悩む多くの人が、毎日、この憂鬱な瞬間と向き合っています。このつらい症状を改善し、再発を防ぐためには、整形外科での治療やセルフケアに加え、日常生活の中に、かかとへの負担を減らすための「生活習慣」を組み込むことが、非常に大切です。まず、意識したいのが「体重のコントロール」です。体重が増加すると、歩行時にかかとにかかる衝撃は、その何倍にも増幅されます。過体重や肥満は、足底腱膜に常に過剰な負荷をかけ続ける、最大の危険因子の一つです。バランスの取れた食事と、かかとに負担の少ない運動(水泳やサイクリングなど)を組み合わせ、適正体重を維持することは、根本的な予防に繋がります。次に、「立ち方」や「歩き方」の見直しです。長時間、同じ姿勢で立ち続けることは避け、こまめに休憩をとったり、片足ずつ台に乗せるなどして、体重がかかる位置をずらす工夫をしましょう。歩く際には、かかとから強く着地するのではなく、足裏全体で、柔らかく着地するようなイメージを持つと、衝撃を和らげることができます。また、急に走り出したり、ジャンプしたりといった、かかとに急激な負荷がかかる動作は、できるだけ避けるように心がけてください。そして、意外と見落としがちなのが、「室内での過ごし方」です。フローリングなどの硬い床の上を、裸足や薄いスリッパで歩き回ることは、知らず知らずのうちに、かかとにダメージを蓄積させています。室内でも、クッション性の良いルームシューズや、厚手の靴下を履くなどして、かかとを衝撃から守ってあげましょう。さらに、一日の終わりには、「足をいたわる習慣」を取り入れることをお勧めします。ぬるめのお湯にゆっくりと足を浸けて、血行を促進させたり、お風呂上がりに、ふくらはぎや足裏のストレッチを念入りに行ったりすることで、その日に溜まった筋肉の疲労や、腱膜の緊張をリセットすることができます。これらの生活習慣は、どれも地道なことばかりです。しかし、この日々の小さな積み重ねこそが、あなたの足の健康を守り、朝の第一歩を、痛みではなく、快適な一日の始まりに変えてくれる、最も確実な道筋となるのです。
朝の一歩が痛い!かかとを守るための生活習慣