お子さんがりんご病と診断されると、保護者としては「何か治療薬はないのだろうか」と考えるかもしれません。しかし、残念ながら、現時点では、りんご病の原因であるヒトパルボウイルスB19に直接効く「特効薬」や、感染を予防するための「ワクチン」は存在しません。りんご病の治療は、基本的には、子供自身の免疫力でウイルスを克服するのを待つ、対症療法が中心となります。つまり、出てきた症状を和らげながら、自然に治るのをサポートしてあげることが、家庭でのケアの基本です。ほとんどの子供は、りんご病にかかっても、頬が赤くなる以外は、比較的軽い症状で済みます。発熱や、軽い鼻水、咳などが見られる場合は、それに対するケアを行います。熱が高い時は、子供が辛そうであれば、医師から処方された、あるいは薬局で購入した、子供用の解熱剤を使用しても構いません。ただし、使用の際は、必ず用法・用量を守ってください。また、脱水を防ぐために、水分補給をこまめに行うことが大切です。子供が欲しがる時に、麦茶やイオン飲料などを十分に与えましょう。頬や手足の発疹には、通常、かゆみはあまり伴いませんが、もし、かゆみを訴えるようであれば、冷たいタオルで冷やしてあげると、少し楽になることがあります。強く掻きむしって、皮膚を傷つけてしまわないように、爪は短く切っておきましょう。食事は、子供が元気で食欲があれば、特に制限はなく、普段通りのものを与えて大丈夫です。発熱などで食欲がない時は、無理強いせず、ゼリーやプリン、アイスクリームなど、子供が口にしやすいものを与えると良いでしょう。最も大切なのは、「十分な休息」です。発疹が出て、りんご病と診断された時点で、感染力はほとんどありませんが、体はウイルスと戦って消耗しています。家でゆっくりと過ごさせ、体力の回復を促してあげましょう。りんご病は、特別な治療をしなくても、自然に治っていく病気です。過度に心配せず、子供が快適に過ごせるようにサポートしながら、回復を見守ってあげてください。
りんご病に治療薬はある?家庭でのケア