突然の高熱、喉の痛み、そして全身の倦怠感。これらの症状は、インフルエンザの典型的なサインですが、近年では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の可能性も、同時に考えなければならなくなりました。どちらもウイルスによる呼吸器感染症であり、初期症状が非常によく似ているため、症状だけで両者を明確に見分けることは、専門家でも困難です。では、このような発熱症状が現れた時、私たちはどこへ相談すれば良いのでしょうか。現在、多くの地域では、発熱患者の診療を専門的に行う「発熱外来」や、指定された医療機関での対応が一般的となっています。そのため、まずは、お住まいの自治体のホームページや、かかりつけ医の情報を確認し、発熱した場合の受診方法や連絡先を調べておくことが重要です。いきなり医療機関に直接押しかけるのではなく、事前に電話で連絡し、症状を伝えて、受診の指示を仰ぐのが基本的なルールとなります。受診する診療科としては、やはり「内科」が中心となります。発熱外来を設置している内科クリニックや、地域の基幹病院の内科が、主な受け入れ先となるでしょう。医療機関では、感染対策が徹底された専用の診察室や待合スペースで、問診と診察が行われます。そして、インフルエンザと新型コロナウイルスの両方を、同時に検査できる「抗原検査キット」を用いて、診断が行われることが多くなっています。鼻の奥から検体を採取し、15〜30分程度で、どちらのウイルスに感染しているか、あるいは両方に感染しているか、といったことが判明します。この検査結果に基づいて、インフルエンザであれば抗インフルエンザ薬、新型コロナウイルスであれば対症療法や、場合によっては抗ウイルス薬が処方されるなど、それぞれの疾患に応じた治療方針が決定されます。感染症の流行状況は、刻一刻と変化します。いざという時に慌てないためにも、日頃から、発熱時にどこへ相談すれば良いのか、地域の医療情報を把握しておくことが、自分自身と、そして周囲の人々の健康を守るために、非常に大切になっています。
インフルエンザ?それともコロナ?発熱時の受診先