足の付け根(鼠径部)や、脇の下といった場所は、普段あまり意識しない部分ですが、ある日、シャワーを浴びている時などに、コリコリとしたしこりに気づき、不安になることがあります。これらの場所にできるしこりの原因として、最も考えられるのが「リンパ節の腫れ」です。私たちの体には、全身に網の目のようにリンパ管が張り巡らされており、その所々に関所のような役割を果たす「リンパ節」が存在します。リンパ節は、体内に侵入した細菌やウイルス、あるいはがん細胞などをせき止め、処理する免疫器官です。足の付け根や脇の下は、特に多くのリンパ節が集まっている場所なのです。例えば、足に怪我をしたり、水虫になったりすると、そこから侵入した細菌と戦うために、近くの足の付け根のリンパ節が反応して腫れることがあります。同様に、手の指に怪我をしたり、虫歯や歯周病があったりすると、脇の下や首のリンパ節が腫れることがあります。このように、何らかの感染症や炎症に反応して起こるリンパ節の腫れは「反応性リンパ節炎」と呼ばれ、通常は原因となっている炎症が治まれば、自然に元の大きさに戻っていきます。この場合、まずは原因となっている感染症を治療することが先決となるため、かかりつけの「内科」や、怪我であれば「外科・整形外科」、歯の問題であれば「歯科」などを受診することになります。しかし、リンパ節の腫れの中には、注意が必要なものもあります。数週間経っても腫れが引かない、しこりがだんだん大きくなる、複数個がくっついて硬い塊になっている、発熱や体重減少、寝汗といった全身の症状を伴う、といった場合は、悪性リンパ腫や、他のがんのリンパ節転移といった、悪性の病気の可能性も考えなければなりません。このような、原因がはっきりしないリンパ節の腫れに気づいた場合、まずは全身の状態を総合的に診てくれる「内科」や「総合診療科」を受診するのが適切です。血液検査や画像検査などを行い、腫れの原因を調べ、必要に応じて、血液内科などの専門医へと繋いでくれます。