整形外科で足底腱膜炎と診断された、あるいは、歩き始めのかかとの痛みから、その可能性が高いと感じている。このような時、病院での治療と並行して、あるいは症状が軽い場合の初期対応として、家庭でできる「セルフケア」を正しく行うことが、症状の改善と再発予防に非常に効果的です。その基本となるのは、「足底腱膜への負担を減らす」ことと、「硬くなった腱膜を柔軟にする」ことの二つです。まず、痛みが強い急性期には、「安静」が第一です。原因となっているランニングや長時間のウォーキングといった運動は、一時的に中止するか、強度を落とす必要があります。仕事などで、どうしても長時間立っていなければならない場合は、こまめに休憩をとり、足を休ませる工夫をしましょう。次に、非常に効果的なのが、「ストレッチ」です。硬く縮こまってしまった足底腱膜や、それと連動しているアキレス腱、ふくらはぎの筋肉を、ゆっくりと伸ばしてあげることが、痛みの緩和に直結します。例えば、椅子に座り、痛い方の足の指全体を手で掴んで、ゆっくりと足の甲の方へ反らせるストレッチは、足底腱膜を直接伸ばすことができます。また、壁に両手をつき、痛い方の足を後ろに引いて、かかとを床につけたまま、アキレス腱とふくらはぎをじっくりと伸ばすストレッチも、毎日、朝晩に行うと良いでしょう。痛みが気持ち良いと感じる程度の強さで、30秒ほど伸ばすのがポイントです。入浴後など、体が温まっている時に行うと、より効果的です。さらに、「足裏のマッサージ」も有効です。ゴルフボールやテニスボールを床に置き、土踏まずのあたりで、体重をかけながらゆっくりと転がすことで、足底腱膜を心地よくほぐすことができます。ただし、痛みが非常に強い部分を、無理にグリグリと押すのは避けましょう。また、「靴の見直し」も、根本的な対策として重要です。クッション性が高く、かかとをしっかりとサポートしてくれる、自分の足に合った靴を選ぶことが、歩行時の衝撃を和らげ、足底腱膜への負担を軽減します。必要であれば、インソール(中敷き)を使用して、土踏まずのアーチをサポートするのも良い方法です。これらのセルフケアを、根気よく続けることが、つらいかかとの痛みから解放されるための、着実な一歩となります。