お子様が、ぐったりとして顔を真っ赤にし、高い熱を出している。そんな時、親としては心配でたまらないものです。特に、冬の流行シーズンであれば、インフルエンザの可能性が頭をよぎるでしょう。大人の場合は内科が主な受診先となりますが、子供のインフルエンザが疑われる場合は、迷わず「小児科」を受診してください。子供の体を専門とする小児科医に診てもらうことが、最も安全で確実な選択です。その理由はいくつかあります。第一に、小児科医は「子供の体の特性を熟知している」専門家だからです。子供は、大人に比べて体の抵抗力が弱く、高熱によって体力を消耗しやすいため、脱水症状に陥りやすいという特徴があります。また、インフルエンザの合併症として、中耳炎や気管支炎、肺炎などを引き起こしやすいのも、子供ならではのリスクです。小児科医は、こうした子供特有の症状や合併症のサインを注意深く観察し、的確な診断と管理を行ってくれます。第二に、最も重要なのが「インフルエンザ脳症」のリスクへの対応です。インフルエンザ脳症は、主に乳幼児に起こる、極めて重篤な合併症です。意識障害やけいれん、異常な言動といった症状が急速に進行し、命に関わったり、重い後遺症が残ったりすることがあります。小児科医は、このインフルエンザ脳症の初期症状を熟知しており、万が一、その兆候が見られた場合に、迅速に高度な医療が受けられる専門機関へと繋ぐ、重要な役割を担っています。第三に、「薬の処方」における専門性です。抗インフルエンザ薬や解熱鎮痛薬は、子供の年齢や体重に応じて、使用できる種類や量が厳密に定められています。特に、一部の解熱鎮痛薬(ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸など)は、インフルエンザ脳症との関連が指摘されており、子供のインフルエンザでは原則として使用されません。小児科医は、こうした薬剤に関する専門知識に基づき、子供にとって最も安全な薬を、適切な用量で処方してくれます。高熱でぐったりしているお子様の姿を見るのは辛いですが、慌てずに、まずはかかりつけの小児科に連絡し、指示を仰ぐことが大切です。
子供のインフルエンザ、小児科へ急ぐべき理由