風邪の症状と、全身に広がるかゆい蕁麻疹。この二つの症状が同時に現れた時、多くの人が「内科と皮膚科、どちらへ行けば良いのだろう」と、診療科選びに迷ってしまうことでしょう。どちらの科でも対応は可能ですが、それぞれの特徴を理解し、自分の症状の重さや、最もつらい症状は何かによって、適切な選択をすることが大切です。まず、発熱や喉の痛み、咳、全身の倦怠感といった、風邪の症状そのものが非常につらく、体全体が弱っている場合は、「内科」を受診するのが良いでしょう。内科医は、全身の状態を総合的に診る専門家です。蕁麻疹の原因が、風邪ウイルスによる免疫の乱れなのか、あるいは服用した薬による薬疹なのかを、問診や診察を通じて判断し、風邪の治療と蕁麻疹の治療を並行して行ってくれます。蕁麻疹に対しては、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬の内服薬などを処方してくれるでしょう。かかりつけの内科医であれば、あなたの既往歴やアレルギー歴も把握しているため、より安心して相談できます。一方で、風邪の症状は比較的軽いものの、蕁麻疹のかゆみが非常に強い、あるいは皮膚の腫れがひどくて、とにかくこの皮膚症状を何とかしたい、という場合は、「皮膚科」が第一選択となります。皮膚科は、皮膚の病気のスペシャリストです。蕁麻疹の診断と治療において、最も専門性が高い診療科と言えます。様々な種類の抗ヒスタミン薬の中から、あなたの症状に最も合ったものを選択してくれたり、必要であれば、ステロイドの塗り薬を処方して、局所の炎症を抑えたりすることもあります。特に、蕁麻疹の原因が、特定の食べ物や、薬など、アレルギー性の要因が強く疑われる場合には、皮膚科でアレルギー検査(血液検査など)を行い、原因物質を特定することも可能です。結論として、全身の症状が主体であれば「内科」、皮膚の症状が主体であれば「皮膚科」と考えるのが、一つの目安となります。もし、どちらか一方を受診して、症状が改善しない場合や、別の側面の治療が必要と判断された場合には、科をまたいで紹介してもらえることもあります。まずは、通いやすい方の診療科に相談してみることから始めましょう。