それは、ある日曜の朝、突然やってきました。ベッドの中で寝返りをうった瞬間、天井が、まるで高速回転するメリーゴーラウンドのように、ぐるぐると回り始めたのです。あまりの衝撃に目を開けていられず、同時に猛烈な吐き気に襲われました。これが、私の人生で初めて経験する、めまいでした。何が起きたのか分からず、ただひたすら恐怖に震えながら、嵐が過ぎ去るのを待ちました。幸い、めまいは一分ほどで収まりましたが、頭を少しでも動かすと、またあの回転が始まるのではないかという恐怖で、私はベッドから起き上がることができませんでした。その日は一日中、首にコルセットをはめたかのように、頭を動かさないようにして過ごしました。翌日、恐る恐る体を起こし、家族に支えられながら向かったのは、耳鼻咽喉科でした。正直、めまいが耳鼻科の領域だとは、その時まで知りませんでした。診察室で、昨日の朝の出来事を話すと、医師は「典型的な良性発作性頭位めまい症の症状ですね」と言い、特殊な眼鏡をかけるように指示しました。そして、ベッドの上で、頭を様々な方向にゆっくりと動かす検査が始まりました。特定の頭の位置になった瞬間、再び、あの激しいめまいが再現されたのです。自分では目が回っているだけだと思っていましたが、医師はモニターに映し出された私の眼球の動きを見ながら、「はい、右の後半規管ですね」と、原因を特定しました。私のめまいの原因は、耳の奥にある耳石という小さな石が、三半規管に入り込んでしまったことでした。そして、その場で始まったのが「頭位治療」でした。医師の指示に従って、ベッドの上でゆっくりと寝返りをうつように、頭と体の位置を変えていくだけの、まるで体操のような治療です。これで本当に治るのだろうかと半信半疑でしたが、治療を終えて体を起こした瞬間、私は驚きました。あれほど怖かった頭を動かした時のめまいが、嘘のように消えていたのです。原因がわかり、簡単な治療で劇的に改善したことで、私の不安は一気に解消されました。もし、私と同じように突然の回転性めまいに襲われたら、パニックにならず、まずは耳鼻咽喉科を訪ねてみてください。
私が良性発作性頭位めまい症を克服した話