健康診断や生活習慣病予防の情報中心

2025年7月
  • 熱中症なのにトイレが近い、その理由とは

    医療

    夏の暑い日に、めまいや頭痛、倦怠感といった熱中症の初期症状と共に、「トイレの回数が増える」という、一見すると矛盾したような現象が起こることがあります。熱中症は、大量の汗をかくことで体内の水分が失われ、脱水状態に陥る病気です。通常、脱水になれば、体は水分を保持しようとして尿の量を減らすため、トイレの回数は減るはずです。それなのに、なぜトイレが近くなるのでしょうか。この不思議な現象の背景には、いくつかの要因が考えられています。まず、最も大きな理由として挙げられるのが、「水分の摂りすぎ」、特に「水だけのがぶ飲み」です。熱中症対策として、こまめな水分補給は非常に重要ですが、汗で失われるのは水分だけではありません。ナトリウム(塩分)などの電解質も一緒に失われています。この状態で、電解質を含まない水だけを大量に飲むと、血液中のナトリウム濃度が急激に薄まってしまいます。すると、体は、血液の濃度を正常に保とうとして、これ以上、体液が薄まるのを防ぐために、余分な水分を尿として排出しようと働きます。これが、水を飲めば飲むほど、かえってトイレが近くなり、結果的に脱水状態を悪化させてしまう「自発的脱水」と呼ばれる危険な状態です。また、暑さによる「自律神経の乱れ」も、頻尿の一因となり得ます。自律神経は、膀胱に尿を溜めたり、排出したりする働きもコントロールしています。夏の過酷な環境によって自律神経のバランスが崩れると、膀胱が過敏になり、まだ十分に尿が溜まっていなくても、強い尿意を感じてしまうことがあるのです。さらに、利尿作用のある飲み物、例えばコーヒーや緑茶、ビールなどを水分補給のつもりで飲んでいる場合も、トイレの回数は増えてしまいます。熱中症の症状と共に頻尿が見られる場合は、こうした体のメカニズムが働いている可能性を考え、水分補給の方法を見直すことが重要です。

  • 乳房のしこりは乳腺外科へ

    医療

    女性が自分の体に「しこり」を見つけた時、最も不安を感じる場所の一つが「乳房」ではないでしょうか。乳房のしこりは、乳がんの最も代表的なサインの一つとして知られているため、その発見は大きな心配につながります。乳房にしこりや、これまでになかった硬さ、ひきつれなどを感じた場合に、ためらわずに受診すべき専門の診療科は、「乳腺外科」あるいは「乳腺科」です。乳腺外科は、乳房に関するあらゆる病気の診断と治療を専門とするエキスパートです。乳がんのことはもちろん、乳腺症や乳腺線維腺腫、乳腺のう胞といった、乳房にできる良性のしこりについても、豊富な知識と経験を持っています。実は、乳房にできるしこりの多くは、がではない良性のものです。しかし、その鑑別は、専門家でなければ困難であり、自己判断は絶対に禁物です。乳腺外科では、まず丁寧な問診と、医師が直接乳房を触ってしこりの状態を確認する「視触診」を行います。そして、診断を確定させるために、専門的な画像検査が行われます。その代表格が、「マンモグラフィ(乳房X線撮影)」と「乳房超音波(エコー)検査」です。マンモグラフィは、乳房を板で挟んで圧迫し、X線撮影をすることで、非常に小さなしこりや、がんのサインである微細な石灰化を見つけ出すのに優れています。一方、超音波検査は、乳房に超音波を当て、その反響を画像化するもので、しこりの内部の性状(液体が溜まったのう胞か、固形成分か)を詳しく調べることができます。特に、乳腺が発達している若い世代では、マンモグラフィよりも超音波検査の方が、しこりを発見しやすいことがあります。これらの検査の結果、さらに詳しい検査が必要と判断された場合には、しこりに細い針を刺して細胞を採取する「細胞診」や、組織の一部を採取する「組織診(生検)」が行われ、がん細胞の有無を最終的に確定させます。乳房のしこりに気づいたら、いたずらに不安を募らせるのではなく、速やかに乳腺の専門家である乳腺外科医に相談し、正しい診断を受けることが、何よりも大切です。

  • 蕁麻疹が出た!病院ではどんな治療をする?

    医療

    風邪などをきっかけに、突然、激しいかゆみを伴う蕁麻疹が全身に広がってしまった。そんな時、医療機関では、どのような治療が行われるのでしょうか。蕁麻疹の治療の目的は、まず、今まさに出ている、つらいかゆみや発疹を速やかに抑えること、そして、新たな発疹が出ないようにコントロールすることです。その治療の主役となるのが、「抗ヒスタミン薬」の内服(飲み薬)です。蕁麻疹の症状は、皮膚のマスト細胞から放出される「ヒスタミン」という化学物質が、血管や神経に作用することで引き起こされます。抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンが、その受け皿である受容体に結合するのをブロックすることで、ヒスタミンの働きを無効化し、かゆみや発疹を抑える薬です。現在、医療機関で処方される抗ヒスタミン薬は、眠気などの副作用が少ない「第二世代」と呼ばれる新しいタイプのものが主流となっています。医師は、患者さんの症状の強さや、ライフスタイル(日中に眠くなると困るかなど)を考慮しながら、最も適した種類の抗ヒスタミン薬を選択します。まず、これらの薬を服用して、症状が完全に抑えられるかどうかを確認します。症状が治まったからといって、すぐに薬をやめてしまうと、再び蕁麻疹が出てくることがあるため、医師の指示に従い、一定期間、服用を続けることが重要です。もし、標準的な量の抗ヒスタミン薬を飲んでも、症状が十分にコントロールできない場合には、薬の量を増やしたり、あるいは作用の異なる別の種類の抗ヒスタミン薬を組み合わせたり、就寝前だけ別の薬を追加したり、といった工夫が行われます。また、かゆみや赤みが局所的に非常に強い場合には、対症療法として、一時的に「ステロイド外用薬(塗り薬)」が処方されることもあります。これにより、局所の炎症を速やかに鎮めることができます。さらに、蕁麻疹の原因が、風邪の治療で飲んだ薬による「薬疹」であると強く疑われる場合は、原因となった薬を特定し、今後、その薬を絶対に服用しないように、患者さんに指導します。蕁麻疹の治療は、まず抗ヒスタミン薬の内服が基本です。自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、専門医のもとで、自分に合った適切な治療を受けることが、つらい症状からの一日も早い解放に繋がります。

  • インソールや靴選び、かかとを守るための工夫

    知識

    かかとの痛みの原因となる足底腱膜炎は、足裏にかかる過剰な負担や衝撃が、その大きな引き金となります。そのため、治療やセルフケアと並行して、日常的に履く「靴」を見直し、必要であれば「インソール(中敷き)」を活用することは、症状の改善と再発予防において、非常に重要な役割を果たします。まず、靴選びの基本的なポイントは、「クッション性」と「安定性」です。靴底が薄くて硬い靴、例えば、パンプスや革靴、あるいは底のすり減った古いスニーカーなどは、歩行時の地面からの衝撃を直接、かかとに伝えてしまい、足底腱膜に大きな負担をかけます。かかとの部分に、十分な厚みと衝撃吸収性のある素材が使われている、ランニングシューズやウォーキングシューズのような靴を選ぶのが理想的です。また、かかと部分がしっかりと固定され、歩行時にグラグラしない、安定性の高い靴を選ぶことも大切です。サンダルやかかとのないスリッパのような靴は、歩行が不安定になり、足裏の筋肉に余計な緊張を強いるため、避けるべきです。さらに、自分の足の形に合っていることも、もちろん重要です。つま先部分に、指を動かせる程度の適度な余裕があるか、足の甲の部分が、靴紐やベルトで適切にフィットさせられるか、といった点もチェックしましょう。そして、これらの適切な靴選びに加えて、さらに効果的なのが「インソール」の活用です。特に、土踏まずのアーチをしっかりと支えるタイプのインソールは、足底腱膜にかかる張力を和らげ、負担を分散させる効果があります。扁平足やハイアーチといった、足のアーチ構造に問題がある方には、特に有効です。市販されているインソールにも様々な種類がありますが、より高い効果を求めるのであれば、整形外科や義肢装具士のいる専門店で、自分の足に合わせて作る「オーダーメイドインソール」という選択肢もあります。足は、私たちの体を支える大切な土台です。その土台を守るために、日々の靴選びやインソールといった、足元の環境を整えることに、ぜひ意識を向けてみてください。それは、つらいかかとの痛みからの解放に繋がる、大きな一歩となるはずです。

  • 体のしこり、まず何科へ相談すべきか

    医療

    ある日、ふと体に触れた時に、これまでなかった「しこり」に気づくと、多くの人が「これは何だろう」「悪いものではないだろうか」と、大きな不安に駆られることでしょう。そして次に直面するのが、「このしこり、一体、何科の病院へ行けば良いのか」という、非常に悩ましい問題です。しこりの原因は、良性のものから悪性のものまで様々であり、その正体を突き止めるためには、専門家による正確な診断が不可欠です。では、まずどこへ相談すれば良いのでしょうか。もし、しこりが皮膚の表面、あるいは皮膚のすぐ下にあり、明らかに皮膚のトラブルだと思われる場合は、「皮膚科」が第一選択となります。粉瘤(アテローム)や脂肪腫といった、よく見られる良性の皮下腫瘍は、皮膚科で診断・治療が可能です。また、原因がはっきりしない場合でも、最初の相談窓口として、全身の皮膚の状態を診る専門家である皮膚科医に診てもらうのは、良い選択肢の一つです。手術による切除が必要な場合は、「形成外科」も専門となります。形成外科は、体の表面の異常を、機能的にも美容的にも、よりきれいに治すことを専門とする科です。一方で、しこりができた体の部位によって、より専門性の高い診療科が存在します。例えば、乳房のしこりであれば乳腺外科、首のしこりであれば耳鼻咽喉科、といった具合です。もし、しこりの原因に見当がつかない、あるいは複数の場所に症状がある場合は、かかりつけの「内科」や「総合診療科」に相談するのも良いでしょう。全身の状態を幅広く診察し、適切な専門科へと橋渡しをしてくれる、ナビゲーターの役割を担ってくれます。大切なのは、しこりを自己判断で放置しないことです。不安な気持ちを一人で抱え込まず、まずは勇気を出して、医療機関の扉を叩くことから始めましょう。

  • 風邪で蕁麻疹、私のつらかった一週間

    生活

    それは、季節の変わり目で、少し肌寒い日が続いていた頃のことでした。最初は、喉の痛みと微熱から始まり、「ああ、また風邪をひいてしまったな」と、いつものことだと軽く考えていました。市販の総合感冒薬を飲み、早めに寝て、数日で熱も下がり、風邪は治りかけのように思えました。しかし、その矢先、私の体に異変が起きたのです。夜、お風呂から上がって体を拭いていると、太ももの内側に、蚊に刺されたような、赤くて少し盛り上がった発疹がいくつかできているのに気づきました。最初は、ダニか何かに刺されたのかと思いましたが、その発疹は、見る見るうちに、お腹や背中、腕へと広がっていき、それぞれがくっついて、地図のような大きな広がりを見せ始めました。そして、何よりも耐え難かったのが、その猛烈な「かゆみ」です。体の芯から湧き上がってくるような、いてもたってもいられないかゆみに襲われ、私は夜通し、体を掻きむしり続けました。翌朝、鏡に映った自分の姿を見て、愕然としました。全身がまだらに赤く腫れ上がり、まるで別人のようでした。風邪の残りの倦怠感と、蕁麻疹のかゆみと、そして寝不足で、心身ともに限界でした。私は、すぐに皮膚科クリニックへ駆け込みました。医師は、私の全身の発疹を診て、風邪をひいていた経緯を話すと、「風邪のウイルスに、免疫が過剰に反応してしまったんでしょうね。ウイルス性の蕁麻疹です」と説明してくれました。そして、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬の内服薬と、炎症を抑えるステロイドの塗り薬を処方してくれました。薬を飲み始めると、あれほど猛威を振るっていたかゆみは、数時間で少しずつ和らいでいきました。完全に発疹が消えるまでには、1週間ほどかかりましたが、かゆみがコントロールできるだけで、精神的には天国と地獄ほどの差がありました。この経験を通じて、私は、風邪が単なる呼吸器の病気ではなく、全身の免疫システムを揺るがす、侮れない病気なのだということを、身をもって知りました。そして、つらい症状は我慢せず、速やかに専門医の助けを求めることの大切さを痛感したのです。

  • 皮膚の下のコロコロしたしこりの正体

    医療

    腕や背中、顔など、体の様々な場所の皮膚の下に、触るとコロコロと動く、ドーム状のしこりができた。痛みやかゆみはないけれど、なんとなく気になる。このようなしこりの正体として、最も頻繁に見られるのが、「粉瘤(ふんりゅう)」あるいは「脂肪腫(しぼうしゅ)」といった、良性の皮下腫瘍です。これらのしこりを専門的に診断・治療する診療科は、「皮膚科」または「形成外科」です。まず、「粉瘤」は、「アテローム」とも呼ばれ、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に、本来であれば垢(あか)としてはがれ落ちるはずの、古い角質や皮脂が溜まってしまったものです。しこりの中心部をよく見ると、黒い点(開口部)が見られることもあります。通常は痛みはありませんが、この袋の中に細菌が感染すると、急に赤く腫れ上がり、強い痛みを伴う「炎症性粉瘤」という状態になることがあります。この場合は、抗菌薬の内服や、切開して膿を出す処置が必要になります。一方、「脂肪腫」は、その名の通り、皮下にある脂肪組織が増殖してできた、柔らかい良性の腫瘍です。粉瘤のように袋状の構造はなく、脂肪細胞の塊です。皮膚のやや深いところにでき、触ると、弾力のある消しゴムのような感触がします。通常、炎症を起こすことはなく、ゆっくりと大きくなるのが特徴です。これらの粉瘤や脂肪腫は、どちらも良性の腫瘍であり、必ずしも治療が必要なわけではありません。しかし、徐々に大きくなってきて見た目が気になる場合や、衣類と擦れて邪魔になる場合、あるいは粉瘤が繰り返し炎症を起こすような場合には、手術による切除が検討されます。手術は、局所麻酔下で、腫瘍を袋ごと、あるいは塊ごと、きれいに取り除くというものです。皮膚科でも手術は可能ですが、傷跡をできるだけきれいに治したい、あるいは顔などの目立つ場所にできたしこりの場合は、美容的な側面も考慮して治療を行う「形成外科」に相談するのも良い選択です。皮膚の下のしこりに気づいたら、自己判断で無理に潰そうとせず、まずは専門医にその正体を正確に診断してもらうことが大切です。

  • インフルエンザと診断、私が内科で受けた治療

    医療

    去年の冬、私はインフルエンザの猛威に倒れました。それは、ある日の午後、急に背筋がゾクゾクとし始めたことから始まりました。会社からの帰り道、体中の関節が痛み出し、家にたどり着く頃には、立っているのもやっとの状態。熱を測ると、39度を超えていました。「これは、ただの風邪ではない」。そう直感した私は、翌朝、ふらふらの体を引きずって、かかりつけの内科クリニックへ向かいました。クリニックでは、まず受付で症状を伝えると、他の患者さんとは別の待合スペースへ案内されました。感染対策が徹底されていることに、少し安心したのを覚えています。診察室で、昨夜からの急な高熱と、激しい関節痛、そして全身の倦怠感を伝えると、医師は「時期的に見ても、インフルエンザの可能性が非常に高いですね。検査をしましょう」と言いました。そして、長い綿棒のようなものを、鼻の奥深くまで入れられ、グリグリと粘液を採取されました。少し涙目になりましたが、痛みは一瞬でした。待合室で15分ほど待つと、再び診察室へ。医師は、検査キットを見せながら、「やはり、A型のインフルエンザですね」と告げました。診断が確定し、処方されたのは、タミフルというカプセル状の抗インフルエンザ薬と、高熱や体の痛みを和らげるためのカロナールという解熱鎮痛薬でした。医師からは、「抗インフルエンザ薬は、ウイルスの増殖を抑える薬なので、症状が出始めてから早く飲むほど効果があります。今日から5日間、必ず最後まで飲み切ってください」と、丁寧な説明を受けました。また、「水分をしっかり摂って、とにかくゆっくり休むことが一番の治療ですよ」とも言われました。薬局で薬をもらい、家に帰ってすぐにタミフルとカロナールを服用しました。その日は一日中、高熱と体の痛みにうなされましたが、翌日の朝には、あれほど辛かった体の痛みが、少し和らいでいるのを感じました。熱も、38度台まで下がっていました。薬の効果を実感した瞬間でした。その後も、薬をきちんと飲み続け、ひたすら眠ることで、体調は順調に回復。完全に平熱に戻るまでには4〜5日かかりましたが、専門医の的確な診断と治療のおかげで、重症化することなく乗り切ることができました。

  • トイレが近いのは隠れ脱水のサインかも

    医療

    夏の暑い日、頻繁にトイレに行きたくなる。一見、水分が足りている証拠のように思えるかもしれませんが、実はそれは、体内に水分を保持できていない「隠れ脱水」の危険なサインである可能性があります。この現象を理解する上で、鍵となるのが「血中ナトリウム濃度」です。私たちの体は、体液の濃度(浸透圧)を、常に一定の範囲に保つように、精巧なシステムでコントロールされています。汗をかくと、水分と共にナトリウム(塩分)も失われます。この時、失われたナトリウムを補わずに、水だけを大量に摂取するとどうなるでしょうか。血液中のナトリウム濃度は、急激に低下し、体液は薄まってしまいます。すると、脳にあるセンサー(浸透圧受容体)がこの変化を感知し、「これ以上、体液を薄めては危険だ」と判断します。そして、尿の生成を抑えるホルモンである「抗利尿ホルモン」の分泌をストップさせてしまうのです。抗利尿ホルモンのブレーキが外れると、腎臓は、体液の濃度を元に戻そうとして、どんどん水分を尿として体外へ排出し始めます。これが、水を飲んでいるにもかかわらず、トイレが近くなるメカニズムです。本人は水分を摂っているつもりでも、体は水分を溜め込むことができず、次から次へと排出してしまう。その結果、体内の水分量はどんどん減少し、脱水症状はさらに悪化するという、まさに悪循環に陥ってしまうのです。この状態は「低張性脱水」とも呼ばれ、めまいや頭痛、吐き気といった熱中症の症状を引き起こす原因となります。もし、あなたが夏の日に、水をたくさん飲んでいるのに、なぜか喉の渇きが癒えず、トイレの回数ばかりが増えていると感じたら、それは隠れ脱水のサインかもしれません。単に水を飲むだけでなく、失われた塩分を一緒に補給することが、この危険な状態から脱するための最も重要なポイントとなります。

  • インフルエンザ後の長引く咳、何科に相談?

    医療

    インフルエンザにかかり、高熱や体の痛みといった急性の症状は治まったものの、その後も咳だけがしつこく続いて、なかなか治らない。そんな経験をしたことがある方は、意外と多いのではないでしょうか。この、インフルエンザの後に残る咳は、「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」と呼ばれ、多くの人を悩ませる症状です。インフルエンザウイルスとの戦いによって、気管や気管支の粘膜がダメージを受け、炎症が残ってしまうことや、気道が様々な刺激に対して過敏な状態になってしまうことが原因と考えられています。通常、この咳も、数週間で自然に軽快していきますが、もし、咳が一か月以上も続くようであれば、別の病気の可能性も考える必要があります。このような、インフルエンザ後の長引く咳で相談すべき専門の診療科は、「呼吸器内科」です。呼吸器内科は、咳や痰、息切れといった、呼吸器症状の診断と治療を専門とするエキスパートです。長引く咳の原因として、単なる感染後咳嗽だけでなく、「咳喘息」や、まれに「細菌性の二次感染」による気管支炎や肺炎などが隠れていることがあります。咳喘息は、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという音)はないものの、気道の炎症によって乾いた咳が慢性的に続く病気で、インフルエンザなどの気道感染をきっかけに発症することが少なくありません。放置すると、本格的な気管支喘息へ移行するリスクもあります。呼吸器内科では、呼吸機能検査などを行い、こうした病気の可能性を正確に鑑別し、吸入ステロイド薬といった、気道の炎症を根本から抑える専門的な治療を行ってくれます。また、もともと喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といった、呼吸器系の持病がある方がインフルエンザにかかると、その基礎疾患が急激に悪化(増悪)し、咳や息切れが長引くことがあります。このような場合も、呼吸器内科での専門的な管理が不可欠です。インフルエンザの熱が下がったからといって、完全に治ったわけではありません。もし、その後もつらい咳が続くようであれば、「治りが悪いだけ」と自己判断せず、一度、呼吸器の専門家である呼吸器内科医に相談してみることをお勧めします。