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高熱が続き何科に行くか迷った私の体験談
あれは忘れもしない、数年前の冬のことでした。ある朝、目覚めると体に異様な重さを感じ、熱を測ると三十八度五分。ただの風邪だろうと高をくくり、近所の内科クリニックを受診しました。インフルエンザの検査は陰性で、風邪薬を処方されて帰宅したのです。しかし、薬を飲んでも一向に熱は下がりませんでした。それどころか、日を追うごとに体中の関節が痛み始め、食欲も全くなくなってしまったのです。三日経っても三十九度台の高熱が続く状況に、私は言いようのない不安に襲われました。再度同じ内科を訪れましたが、医師も首を傾げるばかり。これは普通の風邪ではないかもしれない、もっと大きな病院で詳しく調べてもらった方が良いと、総合病院への紹介状を書いてくれました。翌日、紹介された総合病院の総合診療科を訪れました。これまでの経緯を詳しく話し、血液検査やレントゲンなど、いくつかの検査を受けました。結果が出るまでの時間は、本当に生きた心地がしませんでした。検査の結果、私の病気は自己免疫疾患の一種であることが判明しました。すぐさま専門である膠原病内科での治療が始まり、適切な投薬治療のおかげで、長く続いた高熱と痛みは少しずつ和らいでいきました。この経験を通して私が痛感したのは、原因がはっきりしない体調不良の時に、どの診療科を選ぶかがいかに重要かということです。最初の内科クリニックの先生が迅速に総合病院を紹介してくれたこと、そして総合診療科の先生が的確に診断を下してくれたおかげで、私は正しい治療にたどり着くことができました。もし発熱が長引いたり、他に気になる症状があったりする時は、ためらわずに専門的な医療機関を頼ることの大切さを、身をもって学んだ出来事でした。
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熱と他の症状で考える病院の選び方とは
発熱した時、多くの人はまず内科を受診しようと考えるでしょう。それは決して間違いではありませんが、熱以外の症状に注目することで、より適切な診療科を最初から選べる場合があります。適切な科を選ぶことは、迅速な診断と治療につながり、結果として回復を早めることにもなります。例えば、熱と共に激しい咳や痰、呼吸の苦しさがある場合は、気管支炎や肺炎の可能性も考えられます。このような呼吸器系の症状が強い場合は、呼吸器内科が専門となります。また、喉の強い痛みや腫れ、飲み込むのがつらいといった症状が前面に出ているのであれば、耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう。扁桃炎など、喉に原因がある発熱の可能性があります。腹痛や下痢、嘔吐といった消化器系の症状を伴う熱の場合は、胃腸炎などが疑われます。このケースでは、消化器内科が専門です。特に、食事がほとんど摂れない、水分補給もままならないといった状況では、点滴などの処置が必要になることもあるため、早めの受診が肝心です。さらに、高熱と共にひどい頭痛や吐き気がある場合は、髄膜炎などの重大な病気も考えられます。このような場合は、すぐに脳神経外科や神経内科のある総合病院の救急外来を受診すべきです。関節の腫れや痛みが主な症状であるなら、膠原病やリウマチの可能性も視野に入れ、リウマチ科や膠原病内科を検討します。このように、熱という一つの症状だけでなく、それに付随してどのような症状が最も強く出ているかを見極めることが、病院選びの重要な鍵となります。受診前にもう一度自分の体の声に耳を傾け、最もつらい症状は何かを整理してみることをお勧めします。
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めまいを感じたら何科を受診すべきか
ある日突然、自分や周囲がぐるぐる回る感覚に襲われたり、体がフワフワと揺れるような感覚に陥ったりする「めまい」。その原因は多岐にわたるため、いざ病院へ行こうと思っても、どの診療科の扉を叩けば良いのか迷ってしまう方は少なくありません。めまいの原因は大きく分けて、耳の異常、脳の異常、そして全身性の病気の三つに分類されます。そのため、症状に合わせて適切な専門家を選ぶことが、的確な診断と治療への最も重要な第一歩となります。結論から言うと、めまい全体の約七割は耳の三半規管や前庭神経といった平衡感覚を司る器官のトラブルが原因とされています。したがって、特に「ぐるぐる回る回転性のめまい」が主症状の場合は、まず「耳鼻咽喉科」を受診するのが最も一般的で適切な選択です。耳鼻咽喉科では、専門的な検査で耳の内部の状態を詳しく調べ、良性発作性頭位めまい症やメニエール病といった、耳が原因のめまいを診断し治療します。一方で、めまいとともに「激しい頭痛」「手足のしびれ」「ろれつが回らない」といった神経症状を伴う場合は、脳梗塞や脳出血といった脳の病気が疑われるため、一刻も早く「脳神経外科」や「神経内科」を受診する必要があります。これは命に関わる危険なめまいのサインです。また、立ち上がった時にクラッとする、いわゆる立ちくらみのような症状や、フワフワとした浮動性のめまいが続く場合は、貧血や不整脈、血圧の異常といった全身性の病気が原因かもしれません。この場合は「内科」や「循環器内科」が専門となります。このように、めまいは体からの重要なサインです。自分の症状をよく観察し、最も可能性の高い原因に対応する専門科を選ぶことが大切です。
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危険なめまい!脳神経外科へ急ぐべき症状
めまいは多くの場合、耳のトラブルが原因で起こる良性のものですが、中には脳梗塞や脳出血、脳腫瘍といった、命に関わる脳の病気が原因で引き起こされている「危険なめまい」も存在します。これらのめまいは、一刻も早い治療が必要となるため、その危険なサインを見逃さないことが何よりも重要です。もし、あなたのめまいがこれから挙げるような症状を伴う場合は、耳鼻咽喉科ではなく、直ちに「脳神経外科」や「神経内科」を受診するか、ためらわずに救急車を呼んでください。危険なめまいを見分けるための最も重要なポイントは、めまい以外の「神経症状」を伴っているかどうかです。脳は、体の運動機能や感覚、言語機能など、あらゆる司令塔の役割を担っています。そのため、脳に異常が起きると、めまいだけでなく、他の神経系の働きにも異常が生じるのです。具体的には、以下のような症状に注意してください。まず、「突然の激しい頭痛」です。特に、これまで経験したことのないような、後頭部をバットで殴られたような激しい頭痛とめまいが同時に起きた場合は、くも膜下出血の可能性があります。次に、「手足の麻痺やしびれ」です。片方の手足に力が入らない、物がうまく持てない、あるいはジンジンとしびれるといった症状は、脳梗塞や脳出血の典型的なサインです。また、「ろれつが回らない、言葉が出にくい」といった言語障害や、「物が二重に見える(複視)」「視野の一部が欠ける」といった視覚の異常も、脳の異常を示唆しています。「まっすぐ歩けない、ふらついて倒れてしまう」といった、明らかな歩行障害も危険な兆候です。これらの神経症状は、めまいの原因が小脳や脳幹といった、生命維持に重要な部分で起きていることを示しています。耳が原因のめまいでは、吐き気はあっても、このような麻痺や言語障害が起こることはありません。めまいを感じたら、まずは冷静に自分の体を観察し、これらの危険なサインがないかを確認すること。それが、万が一の事態から自分の命を守るための、最も大切な行動です。
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立ちくらみやフワフワするめまいは内科へ
立ち上がった瞬間に、目の前が暗くなるような、あるいは血の気が引くようなクラッとした感覚。あるいは、地面が揺れているような、雲の上を歩いているような、フワフワとした浮遊感。このようなタイプのめまいは、耳や脳のトラブルではなく、血圧の変動や貧血、不整脈といった、全身性の内科的な病気が原因で起こっている可能性があります。この場合、相談すべきは「内科」や「循環器内科」です。立ちくらみの正式名称は「起立性低血圧」です。横になったり座ったりしている状態から急に立ち上がると、重力によって血液が下半身に移動します。健康な人であれば、自律神経がすぐに働き、血管を収縮させて脳への血流を維持しますが、この調節機能がうまく働かないと、一時的に脳が血流不足になり、立ちくらみを起こすのです。脱水や疲労、あるいは服用している薬の副作用などが原因となることもあります。内科では、血圧の測定や生活習慣の聞き取りを通じて、原因を探ってくれます。また、フワフワとした浮動性のめまいが持続する場合に、まず疑われるのが「貧血」です。血液中の赤血球やヘモグロビンが減少すると、全身の組織に十分な酸素を運ぶことができなくなります。脳も酸素不足に陥るため、めまいやだるさ、動悸、息切れといった症状が現れるのです。これは、簡単な血液検査で診断がつきます。さらに、心臓のリズムが乱れる「不整脈」も、めまいの重要な原因です。脈が速すぎたり、遅すぎたり、あるいは一時的に止まったりすると、心臓から脳へ送り出される血液量が不安定になり、めまいや失神を引き起こすことがあります。循環器内科では、心電図や二十四時間ホルター心電図といった検査で、心臓のリズムに異常がないかを詳しく調べます。このように、特に回転性のめまいではない、立ちくらみや浮動性のめまいは、全身の状態を映し出す鏡のようなものです。まずはかかりつけの内科医に相談し、血液検査や血圧測定といった基本的なチェックを受けることが、原因の特定に繋がります。