厄介な害虫であるヒメカツオブシムシを効果的に駆除・予防するためには、彼らがどのような一生を送るのか、そのライフサイクルを知ることが非常に重要です。敵の生態を理解することで、どの時期にどのような対策を打つべきかが見えてきます。ヒメカツオブシムシの一生は、「卵→幼虫→蛹(さなぎ)→成虫」というサイクルをたどります。一般的に、このサイクルを一周するのに約1年かかります。まず、春(4月〜6月頃)になると、屋外で越冬したり、蛹から羽化したりした成虫が活動を開始します。成虫の寿命は約1ヶ月で、その主な目的は繁殖です。彼らはキク科の白い花(マーガレット、ヒメジョオンなど)の蜜や花粉を好み、そこで交尾を行います。そして、メスの成虫は産卵のために家の中に侵入し、幼虫の餌となる動物性繊維やホコリが豊富な場所に、一度に数十個の卵を産み付けます。卵は約1〜2週間で孵化し、「幼虫」の期間が始まります。この幼虫期間が、ヒメカツオブシムシの一生の中で最も長く、そして最も被害が大きくなる時期です。幼虫は、暗い場所を好み、ウール製品や乾物、ホコリなどを食べて、脱皮を繰り返しながら成長します。その期間は、環境にもよりますが約300日にも及びます。つまり、夏、秋、冬の間、私たちの目の届かないところで、彼らは着々と成長し、衣類などに被害を与え続けているのです。そして、十分に成長した幼虫は、翌年の春になると蛹になり、約2〜3週間後に羽化して成虫となります。このライフサイクルからわかる対策のポイントは二つです。一つは、成虫が活動し、家の中に侵入してくる「春」が、予防の最も重要な時期であるということです。この時期に、窓からの侵入を防いだり、忌避剤を使ったりすることで、産卵そのものを防ぐことができます。もう一つは、被害をもたらす「幼虫」が一年を通して家の中に潜んでいる可能性があるということです。そのため、季節を問わず、定期的な掃除や衣類の管理が、駆除と被害防止の鍵となるのです。