自分のこと以上に、高齢の親が熱を出した時の心配は大きいものです。特に、複数の持病を抱えていたり、多くの薬を服用していたりする場合、どの病院の何科に連れて行けば良いのか、判断はより一層難しくなります。高齢者の場合、発熱時の対応で最も優先すべきは、かかりつけ医への相談です。かかりつけ医は、本人の病歴や普段服用している薬、アレルギーの有無などを全て把握している、いわば健康管理のパートナーです。自己判断で専門外のクリニックを受診するよりも、まずは電話などでかかりつけ医に連絡を取り、指示を仰ぐのが最も安全で確実な方法と言えます。高齢者は、若い人のように典型的な症状が出ないことも少なくありません。例えば、肺炎を起こしていても高熱が出なかったり、咳があまり出なかったりすることがあります。代わりに、なんとなく元気がない、食欲が落ちた、普段よりぼんやりしているといった、些細な変化が病気のサインであることも多いのです。こうした微妙な変化に気づけるのも、普段から診てくれているかかりつけ医ならではの強みです。もし、かかりつけ医がいない場合や、夜間休日などで連絡が取れない場合は、内科、あるいは複数の診療科が揃っている総合病院の総合診療科を受診するのが良いでしょう。受診の際には、本人が普段飲んでいる薬が全てわかるように、お薬手帳を必ず持参してください。薬の飲み合わせは非常に重要で、医師が新しい薬を処方する際の判断材料となります。また、発熱の原因が持病の悪化によるものである可能性も考えられます。例えば、糖尿病の持病がある人が感染症にかかると血糖コントロールが乱れやすくなりますし、心臓や腎臓に病気がある場合は、発熱が体に大きな負担をかけることもあります。高齢の親の発熱は、単なる風邪と軽視せず、背景にある様々なリスクを考慮し、慎重に対応することが何よりも大切です。