市販の殺虫剤でスズメバチの巣を攻撃し、蜂の出入りがなくなった。これで一件落着、と安心してしまうのは非常に危険です。殺虫剤による攻撃は、あくまでも駆除プロセスの一部に過ぎず、根本的な解決には「巣そのものの撤去」が不可欠です。なぜなら、蜂がいなくなった後の巣を放置することには、多くのリスクが伴うからです。まず、巣の中には、殺虫剤の影響を受けずに生き残っている卵や蛹(さなぎ)が大量に残っている可能性があります。特に、分厚い外皮に覆われたスズメバチの巣では、内部まで薬剤が完全に浸透しないことも珍しくありません。これらの卵や蛹がやがて羽化し、再び巣が活動を再開してしまう危険性があるのです。また、巣を放置すると、別の害虫を呼び寄せる原因にもなります。スズメバチの巣の中には、死んだ幼虫や働き蜂の死骸、食べ残しの餌などが残っています。これらは時間とともに腐敗し、強烈な悪臭を放つようになります。そして、この腐敗臭に誘われて、ゴキブリやハエ、アリといった他の衛生害虫が集まってくるのです。スズメバチを駆除したはずが、今度は別の害虫の温床を作ってしまうという、本末転倒な事態になりかねません。さらに、建物に与えるダメージも無視できません。スズメバチの巣は、唾液と木の繊維で作られていますが、これが壁や天井に長期間付着していると、シミや腐食の原因となることがあります。特に、屋根裏などに作られた巨大な巣は、相当な重量になり、天井板を傷める可能性もあります。このように、殺虫剤で蜂をいなくさせるだけでは、問題の根本的な解決にはなりません。安全を確認した上で巣を完全に撤去し、巣があった場所を清掃する。そして、再発防止のために忌避剤を散布する。この一連のプロセスを完了させて初めて、スズメ-バチの脅威から完全に解放されるのです。