昨日の夜、私は人生で最も「自分の呼吸」を意識する、奇妙で不自由な時間を過ごしました。きっかけは本当に些細なことで、テレビを見ながら炭酸水を一気に飲み干した瞬間、あの「ヒック」という音が始まったのです。最初はよくあることだと笑っていましたが、三十分を過ぎたあたりから、身体に異変が起き始めました。しゃっくりが一度出るたびに、胸のど真ん中に、まるで重い鉄球が叩きつけられるような鈍い痛みが走るようになったのです。普段のしゃっくりなら「また出た」で済みますが、この痛みは別物でした。一度その痛みを意識し始めると、次にくる「ヒック」が怖くて、全身がガチガチに強張ってしまいます。その緊張がまた、しゃっくりを誘発するという、救いのないループに陥ってしまいました。一時間を超える頃には、胸だけでなく、背中の肩甲骨のあたりまで重だるい痛みが広がり、私は「これはただのしゃっくりじゃない、心臓の何かがおかしいのかもしれない」と本気で疑い始めました。スマートフォンの画面を暗くして、布団の中で「しゃっくり 胸が痛い」という言葉を何度も打ち込みました。検索結果には恐ろしい病名も並んでいましたが、同時に「逆流性食道炎」や「筋肉の疲れ」といった言葉も見つかり、少しだけ冷静さを取り戻しました。私は暗い部屋で、医師のアドバイスにあった「長く息を吐く呼吸法」を必死に繰り返しました。十秒かけてゆっくりと吐き出す。すると、不思議なことに、肺の奥の強張りが少しずつ解けていくような感覚がありました。完全にしゃっくりが止まったのは、それからさらに一時間が経った、真夜中の二時過ぎでした。最後に大きな一撃が胸を襲った後、不意に訪れた静寂。あんなに自分の身体が静かであることをありがたいと思ったことはありません。翌朝、念のためにクリニックへ行きましたが、幸いにも心臓に異常はなく、一時的な胃の拡張によるものだと言われました。先生は「身体がびっくりしたんだね」と笑っていましたが、私にとっては、自分の内臓がどれほど繊細に、そして力強く動いているかを知る、衝撃的な体験でした。あの日以来、私は冷たい飲み物を一気に飲むのをやめました。胸の痛みは、私の無頓着な生活習慣に対して、身体が精一杯に出してくれた「警告」だったのだと思います。今、何気なく呼吸ができていること、胸に痛みがないこと。その当たり前の幸せを、私は昨夜の「ヒック」という音とともに、深く胸に刻み込みました。同じような経験をして不安になっている方がいたら、まずは落ち着いて、自分の呼吸の音に集中してみてください。身体は、あなたが思うよりもずっと、あなたを守ろうと頑張っています。