ある日突然、自分や周囲がぐるぐる回る感覚に襲われたり、体がフワフワと揺れるような感覚に陥ったりする「めまい」。その原因は多岐にわたるため、いざ病院へ行こうと思っても、どの診療科の扉を叩けば良いのか迷ってしまう方は少なくありません。めまいの原因は大きく分けて、耳の異常、脳の異常、そして全身性の病気の三つに分類されます。そのため、症状に合わせて適切な専門家を選ぶことが、的確な診断と治療への最も重要な第一歩となります。結論から言うと、めまい全体の約七割は耳の三半規管や前庭神経といった平衡感覚を司る器官のトラブルが原因とされています。したがって、特に「ぐるぐる回る回転性のめまい」が主症状の場合は、まず「耳鼻咽喉科」を受診するのが最も一般的で適切な選択です。耳鼻咽喉科では、専門的な検査で耳の内部の状態を詳しく調べ、良性発作性頭位めまい症やメニエール病といった、耳が原因のめまいを診断し治療します。一方で、めまいとともに「激しい頭痛」「手足のしびれ」「ろれつが回らない」といった神経症状を伴う場合は、脳梗塞や脳出血といった脳の病気が疑われるため、一刻も早く「脳神経外科」や「神経内科」を受診する必要があります。これは命に関わる危険なめまいのサインです。また、立ち上がった時にクラッとする、いわゆる立ちくらみのような症状や、フワフワとした浮動性のめまいが続く場合は、貧血や不整脈、血圧の異常といった全身性の病気が原因かもしれません。この場合は「内科」や「循環器内科」が専門となります。このように、めまいは体からの重要なサインです。自分の症状をよく観察し、最も可能性の高い原因に対応する専門科を選ぶことが大切です。