ヒメカツオブシムシの幼虫は、その小さな体に似合わず、私たちの暮らしに様々な被害をもたらします。特に、大切な衣類や保存している食品が、彼らの食害に遭うケースは後を絶ちません。その被害の恐ろしさと、それを未然に防ぐための具体的な対策について解説します。最も代表的な被害が、衣類への食害です。ヒメカツオブシムシの幼虫は、動物性タンパク質である「ケラチン」を消化できる数少ない昆虫の一つです。そのため、ウール、カシミヤ、アンゴラといった高級獣毛繊維や、シルク、毛皮、革製品などを好んで食べます。シーズンオフでしまい込んでいた冬物のセーターやコートを取り出したら、虫に食われて小さな穴が開いていた、という経験の多くは、このヒメカツオブシムシの幼虫によるものです。彼らは、表面の汚れた部分から食べ始めることが多く、知らないうちに衣類がボロボロにされてしまうのです。衣類を食害から守るための基本は、「汚れを断つ」ことと「虫を寄せ付けない」ことです。一度でも着用した衣類は、必ず洗濯やクリーニングをして、皮脂や汗などの汚れを完全に落としてから収納しましょう。そして、収納する際には、必ず防虫剤を使用します。防虫剤は、有効成分が空気より重いものが多いため、クローゼットや衣装ケースの上に置くのが効果的です。また、長期間保管する場合は、密閉性の高い衣装ケースや圧縮袋を利用するのも良いでしょう。衣類だけでなく、食品への被害も深刻です。その名の通り、鰹節や煮干し、干し肉といった動物性の乾物は大好物です。その他にも、パスタや素麺などの乾麺、小麦粉、ペットフード、香辛料なども食害の対象となります。食品を守るためには、開封済みの乾物や粉類は、袋のまま保管せず、必ず密閉容器に移し替えて、冷蔵庫などの低温の場所で保管することが重要です。ヒメカツオブシムシの幼虫は、15度以下の環境では活動が著しく鈍るため、低温保存は非常に有効な対策となります。
ヒメカツオブシムシの幼虫による被害!衣類と食品を守る方法