高校三年生の春、卒業後の進路が決まり、新しい世界への期待に胸を膨らませている若者の皆さんへ。これからは、熱が出た時に「お母さん、病院の予約しといて」と頼む日々から卒業し、自分自身で自分の健康をマネジメントしていくフェーズに入ります。今まで通ってきた小児科から、大人のための内科へ。この移行をスムーズに行い、賢い患者として自立するための心得をお伝えします。まず第一に、自分の「医療の履歴書」を手に入れてください。赤ちゃんの頃からの予防接種の記録、大きな病気をした際の手術名や診断名、そしてアレルギーのある薬の名前。これらはあなたの一生を左右する大切なデータです。小児科を離れる前に、お母さんと一緒に母子手帳を確認し、主要な情報をスマートフォンのメモ帳などに保存しておきましょう。内科の初診で「これまでどんな病気をしましたか?」と聞かれた際、スッと言葉が出てくる若者は、医師から一目置かれ、より質の高い対話が始まります。第二に、自分にとっての「健康のベースライン」を知ることです。自分の平熱は何分か、疲れが溜まった時にどこに症状が出やすいか、睡眠時間が何時間を切ると体調が崩れるか。こうした自分の身体の「癖」を把握しておくことが、病院へ行くべきかどうかの自己判断の基準になります。第三に、診療科の役割を正しく理解しましょう。内科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科。それぞれの科が何を専門としているかを知ることは、効率的に最短ルートで治癒を目指すための地図を持つことと同じです。また、多くの地域には「休日夜間急病センター」などの緊急窓口があることも、今のうちに確認しておいてください。第四に、医師とのコミュニケーションを恐れないことです。医師はあなたを裁く人ではなく、あなたの身体を修理するのを手伝ってくれるプロのエンジニアです。「こんなことを聞いてもいいのかな」と遠慮せず、今、自分が何に一番困っているのかを自分の言葉で伝えてください。最後に、最も重要なのは「自分を大切にするという意思」を持つことです。忙しい大学生活や仕事の中で、自分の不調を後回しにしないこと。病院へ行くという行為は、自分自身への最高のセルフケアであり、一人の自立した大人としての立派な責任の果たし方です。小児科の待合室にある絵本やぬいぐるみにお別れを告げるとき、あなたは一つ、自由への階段を上ったのです。これからは、あなた自身が自分の身体の最高経営責任者として、科学の知恵を味方につけながら、強く、健やかに歩んでいってください。あなたの健やかな未来を、これまで診てくれた小児科の先生も、そしてこれから出会う内科の先生も、心から応援しています。
高校卒業を控えた十代の若者が自分自身で病院を選ぶための心得