小児科の最前線で多くの突発性発疹を診察していると、お母さん方から「顔の発疹が痒そうで見ているのが辛い」「顔を冷やしたほうがいいのか」といった質問をよく受けます。まず専門的な見地からお伝えしたいのは、突発性発疹による顔の発疹や腫れに対して、特別な薬物療法や過剰な外部刺激は必要ないということです。顔に現れる赤みやむくみは、ウイルスとの戦いによって放出された炎症物質の影響であり、時間が経てば必ず自然に消失します。家庭でできる最も大切なケアは、顔の清潔を保ちながら「触らせない工夫」をすることです。赤ちゃんは顔に違和感があると、無意識に手でこすってしまいます。顔の皮膚はデリケートなため、爪を短く切っておくことは必須ですが、寝ている間に顔をかき壊してしまわないよう、通気性の良い綿のミトンを活用するのも一つの手です。また、顔を洗う際も石鹸を多用してゴシゴシ擦るのではなく、ぬるま湯で湿らせた柔らかいガーゼで、そっと置くようにして汚れを拭き取ってあげてください。保湿については、普段から使っている低刺激のワセリンやローションであれば問題ありませんが、新しく強力な成分の入ったクリームをこの時期に試すのは避けるべきです。発疹が出ている時期の肌は、バリア機能が一時的に不安定になっているため、予期せぬ刺激に反応しやすいからです。過ごし方については、室内の環境調整が回復の鍵を握ります。体温が上がると顔の赤みはより鮮明になり、不快感が増します。お風呂は、熱が下がっていれば短時間なら構いませんが、長湯をして体を温めすぎると、お風呂上がりに発疹が燃えるように赤くなり、赤ちゃんがパニックになることもあります。ぬるめのシャワーでサッと済ませるのが理想的です。また、この時期の最大の特徴である「激しい不機嫌」に対しても、親御さんのメンタルケアが不可欠です。顔が腫れて発疹が出ている赤ちゃんは、身体的にとてもイライラしています。何をしても泣き止まないのは、親の努力不足ではなく、身体の中でホルモンや自律神経が必死に再調整を行っている副作用なのです。「今は脳がアップデートされている最中なんだ」と考えて、家事は最小限にし、赤ちゃんと一緒に横になる時間を増やしてください。顔の発疹が引いていくのと同時に、憑き物が落ちたように穏やかな表情が戻ってきます。もし、顔の発疹が消えかかった後に皮が剥けてきたり、乾燥が目立つようになったりしたら、それは治癒のプロセスですので、たっぷりと保湿をしてあげましょう。顔に現れるサインを、赤ちゃんの生命力の表れとしてポジティブに捉え、ゆったりとした気持ちで寄り添ってあげることが、最高の発疹ケアになるのです。
小児科医が勧める顔の発疹への正しいケアと過ごし方