昨年の三月、当時二歳だった私の息子が経験したロタウイルス感染症は、私の育児経験の中で最も過酷な一週間でした。始まりは夜中の突然の嘔吐でした。前日の夕食までは元気に走り回っていたのに、深夜二時頃、何の前触れもなく寝具の上に激しく吐き戻したのです。最初は食べ過ぎかと思いましたが、その後も三十分おきに何度も嘔吐が続き、息子は顔面蒼白で震えていました。翌朝、一番に小児科へ駆け込みましたが、そこからが本当の試練の始まりでした。診察室で医師から「今、地域でロタが流行っていますよ」と言われた直後、おむつを開けて私は絶句しました。そこには、これまで見たこともないような、まるでバニラアイスが溶けたような真っ白な下痢便が広がっていたのです。酸っぱい独特の臭いが鼻を突き、これが噂に聞く白い便なのだと実感しました。病院から帰宅した後、息子は激しい下痢と戦い続けました。一日に十回以上もおむつを替え、そのたびに息子は泣き叫び、お尻が真っ赤に荒れていきました。熱も三十九度五分まで上がり、ぐったりとした様子で私の腕の中で眠り続ける息子を見ていると、代わってあげられないもどかしさと不安で押しつぶされそうになりました。医師からは、少しずつで良いから経口補水液を飲ませるように言われていましたが、一度に飲むとすぐに吐いてしまうため、スプーン一杯を五分おきに口に運ぶという地道な作業を一晩中続けました。一滴も無駄にしたくないという必死な思いでしたが、息子の尿の回数が明らかに減っていくのを見て、入院が必要になるのではないかと生きた心地がしませんでした。三日目の午後、ようやく嘔吐が治まり、少しずつスープを口にできるようになったとき、私はようやく一息つくことができました。しかし、白い下痢はそれからさらに四日間続き、家族全員への感染を防ぐための消毒作業も加わって、私の体力も限界に達していました。家中のドアノブを次亜塩素酸で拭き回り、汚れた衣類を煮沸消毒する日々。看病している私も微かな吐き気を感じながら、必死に手を洗い続けました。この経験を通して学んだのは、ロタウイルスという病気の破壊力の凄まじさと、親が冷静であることの大切さです。独特な白い便は体の異常を知らせる明確なサインであり、それを冷静に医師に伝え、指示されたケアを愚直に続けることがいかに重要かを痛感しました。息子がようやく元の元気な笑顔を見せてくれたとき、窓の外は桜が満開になっていました。あの一週間の静かな激闘は、私に健康の尊さを教えてくれた忘れられない記録です。もし今、同じように夜中の嘔吐に立ち向かっているお父さんやお母さんがいたら、伝えたいです。終わりは必ず来ます。一匙の水分を信じて、今は寄り添ってあげてください。