慢性疲労症候群の診療を専門に行っている「疲労外来」の医師に、この病気の診断における難しさと、現代医療における診療科連携の重要性について話を伺いました。先生によれば、この病気の最大の課題は、患者様が最初に訪れる場所によって、診断の運命が分かれてしまう点にあると言います。インタビューの中で先生はこう語りました。「倦怠感を主訴に来院される方の多くは、最初に内科へ行きます。そこで異常が見つからないと、多くの医師は『心の病気』だと決めつけて精神科へ紹介してしまいます。しかし、慢性疲労症候群の本態は、脳や自律神経、免疫系の複雑な失調であり、決してメンタルだけの問題ではありません」。専門医の視点から見た受診科のあり方として、理想的なのは「身体と心の両輪を診る統合的なアプローチ」だそうです。内科的な検査で全身の炎症やホルモンバランスをチェックしながら、同時に心身医学的な手法で神経系の昂りを鎮めていく。そのためには、一人の医師にすべてを任せるのではなく、各診療科が情報を共有し合う連携が不可欠です。先生は、患者様が病院を選ぶ際の基準として「多職種によるチーム体制」があるかどうかを挙げておられました。医師だけでなく、心理士や理学療法士、看護師がそれぞれの専門性を持って介入し、生活環境の調整までを支援できる体制が、難治性の倦怠感を打破するためには必要だというのです。また、診断における最新のトピックとして、神経炎症を可視化するPET検査や、特定のバイオマーカーの測定についても触れられました。まだ研究段階のものも多いですが、医学は確実に「目に見えないだるさ」を科学的なデータへと変換しようとしています。受診科で迷っている方へのメッセージとして、先生はこう結びました。「『気のせい』という言葉で診断を終わらせる病院ではなく、あなたの身体の中で起きている『不具合』を一緒に探してくれるパートナーを探してください。慢性疲労症候群は、決して甘えではなく、バイオロジーの異常です。正しい診療科を選び、適切な管理を行うことで、必ず回復への糸口は見つかります」。専門医の言葉には、長くこの病気と戦ってきた患者様たちの代弁者としての重みと、未来の医療に対する確かな希望が滲んでいました。私たちは、診療科という縦割りの中で迷走するのではなく、患者という一人の人間を中心に据えた、新しい医療のあり方を求められているのかもしれません。