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小児科医が教える思春期特有の体調変化と受診のメリット
小児科の診察室で、身長が私を追い越した高校生を迎えるとき、私はいつも深い感慨とともに、ある種の緊張感を抱きます。彼らはもはや子供ではありませんが、かといって完全に大人でもありません。医師の立場から言わせていただければ、高校生という時期こそ、内科へ移る前に小児科というフィルターを通すことに大きな医学的メリットがあるのです。思春期から青年期にかけての身体は、爆発的な成長の余波で、自律神経のバランスが極めて不安定になっています。朝起きられない、立ちくらみがする、原因不明の腹痛が続くといった症状の多くは、単なるサボりや精神的な弱さではなく、成長過程にある身体の物理的なエラーであることが多いのです。私たちはこれを起立性調節障害(OD)などの観点から分析しますが、内科医の多くは「異常なし」と診断しがちなこれらの不調に対し、小児科医は成長のスピードと身体の調節機能のズレとして捉え、適切な生活指導や漢方療法を提示できます。また、高校生は学業や人間関係のストレスが身体症状として表れやすい時期です。小児科医は、その子がどのように成長し、どのような家族背景の中で育ってきたかという、いわば「時間の厚み」を持って患者を診ています。この継続性は、新しい病院でゼロから信頼関係を築くよりも、診断の精度とスピードを劇的に高めます。特に、小児期からアレルギーや喘息、てんかんなどの慢性疾患を抱えている場合、そのコントロールの主導権を保護者から本人へと移していく作業、いわゆる「患者教育」も小児科の重要な任務です。内科へ移った途端に通院を止めてしまい、症状を悪化させる若者が後を絶ちません。それを防ぐために、私たちは高校生活という期間を使い、本人に自分の病気と向き合う知恵を授けるのです。また、予防接種についても、高校生で打っておくべき追加接種や、将来の健康を見据えたHPVワクチンの相談など、成長をトータルでコーディネートする役割が私たちにはあります。保護者の方にお願いしたいのは、お子様が高校生になったからといって急いで内科へ追い出そうとしないでほしいということです。本人が「もう恥ずかしいから嫌だ」と言うのであれば尊重すべきですが、そうでなければ、高校卒業という一つの人生の節目までは、小児科という安全な寄港地で心身を整えさせてあげてください。私たちは、彼らが立派な大人として内科の世界へ漕ぎ出していけるよう、最後の帆の点検を行う準備を整えて待っています。