お子様が突然「足の付け根が痛い」と言って歩くのを嫌がったり、足を引きずって歩く(跛行)ようになると、親御さんは大きな不安に包まれます。特に昨晩まで元気に走り回っていた子が、翌朝いきなり動けなくなるような急激な変化は、パニックを招きがちです。このような時、まず小児科に連れて行くべきか、それとも最初から整形外科へ行くべきか、その判断基準を整理しておきましょう。結論から言えば、まずは「小児科」を受診し、全身状態を確認してもらうのが最も安全なルートです。なぜなら、子供の股関節痛の原因には、風邪などの感染症の後に起こる「単純性股関節炎」が最も多いからです。これは数日前まで喉が痛かったり鼻水が出ていたりした子供が、ウイルスの影響で一時的に股関節に水が溜まって痛む病気ですが、小児科医はこれらの一連の流れを総合的に診断してくれます。しかし、小児科を受診した際に「骨や関節そのものの専門的なチェックが必要」と判断された場合は、速やかに小児整形外科への紹介を仰ぐ必要があります。子供特有の重大な股関節疾患には、骨の成長に関わる「ペルテス病」や、思春期に多い「大腿骨頭すべり症」など、放置すると一生の歩行に影響を及ぼす病気が隠れているからです。特に、十歳前後の活発な男の子が数週間にわたって足の違和感を訴え続けている場合は、整形外科でのレントゲン撮影が欠かせません。親ができる最良の観察は、子供が「どこを痛がっているか」を正確に特定することです。子供は膝が痛いと言いながら、実は股関節が悪いという「放散痛」のケースが多々あります。膝を触っても痛がらないのに、足を回すと泣くようなら、原因は股関節にあると確信を持って医師に伝えましょう。また、発熱の有無は極めて重要な情報です。高熱を伴う場合は、前述の化膿性股関節炎の恐れがあり、これは骨を溶かしてしまうため一刻を争います。子供の股関節は成長のエネルギーに満ちている一方で、非常にデリケートで脆い側面も持っています。「成長痛だろう」と自己判断で済ませることは、子供の将来の可能性を奪いかねない危険な賭けです。小児科という窓口から入り、必要に応じて整形外科の高度な診断を仰ぐ。この二段構えの対応が、大切なお子様の健やかな成長を守るための、親としての賢明な選択となるのです。
子供の股関節の痛みに直面した親が知るべき小児科と整形外科の使い分け